ななたつの想い出1

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 内容があれなので、少し注意(´・ω・`)わたしの人格を司った一つの出来事というかなんというか。
 クラナドのBGM聞いたら久々に思い出したので、書きなぐった。後悔はしてない。
 なんか凄いすっきりした(´・ω・`)猫は思い出深い。
 









 今から十年ほど前の話だ。
 母が亡くなり、姉も寮生活でいなくなり、父と二人で生活していた頃である。

 その日の朝、いつも通り家を出て学校へ向かおうとしたとき、庭から猫の鳴き声が聞こえた。
 まぁ猫の声なんてありきたりなのだけれど、その声に、わたしは何かを感じたのだ。
 そしてすぐその声の元へと行ってみた。
 すると、庭に置いてある大きな岩の上に子猫が佇んでいたのである。とても小さな猫だ。体長15センチほどしかなかったように思う。
 場所からして自分で登れるようなところでもないので、おそらく親猫が置いていったのだろう。庭の奥地だから誰かが置けるような場所でもないのである。
 その子猫はまだ目が開きにくいのか、目を閉じ、ひたすら鳴き続けた。まるで泣いている子供。自然の摂理とはいえ可哀想である。
 そう思い近づこうとして、

「おい」

 声をかけられた。父だ。有無を言わせない重い声。
 ゆっくりと振り返ると、真剣な眼差しでこちらを見つめる父と目が合った。

「やめとけ」

 そう呟き、父は会社へと向かった。
 わかっている。今うちには猫が一匹いて、その子の世話ですら精一杯。知らない子猫の面倒を見てご飯を食べさせる余裕もなかった。忙しくて病院にもつれて行けない。世話するなんて無理だった。
 仕方ないのだ。これが弱肉強食というものであり、自然の摂理なのだ。
 差し出そうとしていた手を、ゆっくりと引っ込めた。

 仕方ない。
 仕方ない。
 仕方ない、けれど。
 そんな子猫にすら手を差し伸べられない自分が、情けなかった。





 その日の夕方、帰宅したときに猫の姿はなかった。
 ああ、きっと親猫が来てくれたんだろう。鳴いてもないし、きっと大丈夫だろう。そう思った。
 そして夜、ごはんを食べ始めた頃に雨が降り始めた。けっこう強い。靴をちゃんとしまっておかないといけないな、なんて思ったのを覚えている。 
 お風呂に入り自室へ。明日も早いから早く寝なければならないな、めんどくさい、なんて思いつつ部屋の明かりを落とし、布団へと入る。
 雨音だけがぱたぱたと鼓膜に響く。けっこうしつこい豪雨のようだ。少しやかましい。

 そして聞こえたのだ。鳴き声が。
 掠れたような、すがるような、助けを求めるような、猫の鳴き声である。
 
 気付かなかった。
 親猫が助けてくれたんだと。通りすがりの誰かが連れて行ったのだと。自分に都合のいい考えをして、それ以上考えないようにしていたのだ。
 あの子猫は大雨の中、ずっと鳴いていたのである。
 このとき、助けに行こうかと立ち上がりかけ、思い出した。

『やめとけ』

 そうだ、助けてどうする。
 育てられもしない、面倒も見れない、どうにもならない。
 自分たちのことで精一杯なのに。いったいどうするのだ。責任もてるのか、わたしに。
 無理だ。そもそも父にどう言い訳する。怒られるに決まっている。
 仕方ない、仕方ないんだ。

 そう思い目をギュッと瞑っても、声は聞こえてくる。
 両手で耳を覆っても聞こえてきた。

 その日は、いつになっても寝れなかった。






 気づけば、朝日で目が覚めた。
 無意識で耳をすませてみるが、何も聞こえない。
 あの小さな子猫は、死んでしまったのだろうか。
 
 ため息をついて、リビングへ。何も喋らないまま食事を終えた。
 仕方ないのだ。これも自然。あれはどうしようもないことだったのだと、気持ちを切り替えるしかなかった。
 そう思い外に出て、庭の大きな石の上に子猫がいないことを確認した。やはり、死んでしまったのか。



 そして聞こえてしまった。
 それはとっても小さな声で、耳をすまさなければ聞こえなかっただろう。
 わたしは大急ぎで聞こえた元へと走った。
 見えた、大きな石の下に子猫はいた。この子は死んでない。まだ力尽きていなかった。か細い、今にも聞こえなくなるような声量で鳴いていた。
 ただひたすら鳴いて、鳴いて、泣いて、泣き続けるその姿を見て、わたしは無我夢中で飛びついた。優しく掬い取り、抱き寄せる。転びそうな勢いで家の中へ向かった。別に考えなんてない、何も考えてない。

 父は、何も言わなかった。
 




 子猫の下にタオルを敷いて、距離を置いてドライヤーで毛を乾かす。
 わたしは泣きそうになりながら、ごめんね、本当にごめんね、と何度も何度も謝って、その身体を撫でた。
 だがここからが問題だ。そもそもこの子猫はどう対応すればいいのか。お腹空いてるだろうしまずはご飯だろうか。というか小さすぎて固形物無理じゃないか。つまり牛乳か。ホットミルクか。そのへんだろう。それぐらいなら手持ちのお金でなんとか買えるはずだ。そのあとどうするか。今飼っている大きな猫が何かしたりしないだろうか。監視しておけば大丈夫か。そもそも病院につれていった方がいいんじゃないだろうか。どうしよう、バスとかそんなんで行けばいいのか。いやまず金を工面しないと。

 そして、わたしは手を止めた。
 気づいてしまった。気づきたくなかった。
 
 子猫はもう息をしていなかった。




 やめてくれよ。
 冗談だろ。
 本当にやめてくれ。
 わたしが悪かった。
 謝るよ。
 頼むから息してくれよ。
 お願いだから、お願いだから死なないでくれよ。
 
 子猫を抱きかかえてその場でへたり込んだ。
 いつになっても子猫は目を覚まさなかった。息をしてくれなかった。

 

 その小さな子猫は、死んでしまった。




 雨の中、庭で穴を掘った。子猫を埋葬するための穴。
 数珠を持ってきて、抱えた子猫を穴の中にゆっくり入れ、土をかけた。
 手が泥だらけのまま、数珠を持って、土をかけて、石を乗せて、わたしはその場で土下座した。
 ごめんなさい、本当にごめんなさいと、何度も頭を下げた。

 そのまま父の元へ向かった。
 わたしの姿を見た父は、何も言わず、こちらを見ていた。
 なんて言えばいいんだろうか。何を言えばいいんだろうか。怒られるんだろうか。 
 どうすればいいのかわからなくて、悔しくて、悲しくて、声が出なかった。情けなかった。こんな自分が。結果が。全てが。
 そして聞かれた。

「どうなった?」

「ごめんなさい。死んでしまった」

 俯いたまま答えた。父の顔は見れなかった。
 叩かれるだろうか。少し怖かった。

 だが違った。
 父はそっとわたしの頭を撫でたのだ。

「そうか。辛かったな」

 言われた途端、涙が溢れた。
 違う。わたしは助けられなかったのだ。辛いのはあの子だ。死んでしまったのはあの子だ。わたしは何も出来ないまま、本当なら助けられたかもしれない子を放っていたのだ。何もしてあげられなかったのだ。
 父は、泣いて言葉にできないままのわたしに言い聞かせるように、口を開いた。

「お前があの子を想ったことは無駄にはならないよ」

 そう言われ、思い出した。
 もっと小さな頃、今は亡き母に言われたことがあった。

『他のみんなが見て見ぬ振りするようなことに、手を差し伸べてあげられる、困った人を助けてあげられる、そんな子になってほしいな』

 その言葉を、どうして忘れていたんだろう。
 どうしてわたしは、もっと早くあの子猫を助けてあげなかったんだろう。
 そうすれば、もしかしたら、あの子の命は救われただろうに。

 わたしはただただ、ごめんなさい、ごめんなさい、と泣きながら謝った。
 父に対してか、子猫に対してか、亡き母に対してかはわからない。
 ごめんなさい。助けられなくてごめんなさい。









 余談だが、その三年後ぐらいに野良猫発見してマッハで飛びつき病院につれていって治療してご飯を食べさせ、最終的に近所の家の猫だったと判明し、涙ながらにさようならしたのはまた別のお話である。
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_(:3 」∠)_

コメント

こんにちは~
なんだか今回のは小説の一部分を読んでるような感じになりました。
ただ純粋に子猫を助けたいというたつさんの気持ちも、お父さんのきっとつらいけど現実を見て自分が何を出来るかどうかを判断してほしかったであろう気持ちも分かるだけに辛いですね。

自分も小学生の頃に近所の公園でよくうろついてた野良猫を友達と世話してたので何となくだけどわかるような気がします。
まぁ、その猫は2週間くらいしたら他の人に拾われたみたいですけど(;´∀`)
結局あの猫にはあんまり懐いてもらえなかったなぁ

そしてお母さんの言葉は忘れていたのではなく、もう体がその言葉を覚えてて何も考えなくても誰かを助けるために動けれる人になっていたのではないかなと思います。

最後のとこはきっと近所の人も感謝してると思うし、きっと無駄にはならないです。
きっとそういう優しい人柄があるからたつさんのとこには人が集まるんだろうなぁ
自分もたつさんにはコメで色々と助けられてるし、逆にたつさんが困った時は自分が助けに行きます!!
といっても、自分が出来るのは声かけて話聞くくらいなんですけど(;´∀`)

ではでは真面目な文章書いておかしくなってないか不安だけど、今日はこの辺で~
それではでは~ヽ(・∀・)ノ
>まおーさん
ありがとうございます(*'▽')
そしていつもコメントしてくださって、ありがとう!
おかげで書く気力というか、やる気になってたりします・・・!
ありがたや・・・

とはいえいい思い出なのか悪い想い出なのか、トラウマなのか、いまいちわかりませんが、自分の性格を形成した一つの出来事でありました!
できれば母の言葉通り、誰かを助けてあげられる人になりたいって思ってます(´・ω・`)
ってピンチになったらわたしも助けてにいきますよ!
話聞いたり、ちょっと応えたり程度というか、あまり役に立たないかもしれませんが・・・申し訳ないw
でもでも、そのときは教えてくださいね!おまかせあれ!
コメントありがとうございました(*'▽')

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